日欧とカナダ、合計六か国の中央銀行と国際決済銀行(BIS)がデジタル通貨の共同研究を初めるというニュースが報道されています。失礼ながらそれに対する解説が少し本質を外れているような気がするので私見を述べさせて頂きます。
考え方の大前提として押さえなければいけないのはITの普及以来、世界は消費者の利便性や欲望をいかに満たすかの競争に呑み込まれているということです。国家権力などの勢力は今のところそれにどう対応するかで手いっぱいのように見えます。
今回の国家主導でのデジタル通貨への取り組みも加速する市場に対する対抗策です。仮想通貨がいくらか下火になっている印象、フェイスブックの打ち出したリブレの減速と国家の逆襲がうまくいっているかにみえます。その中でのまた新たな対抗策であって、これは全体として市場と国家の主導権争いという流れで見るべきです。
今回の記事の眼目は以上でありまして、これがどう着地するか、もしくはしばらくは流動的な状態が続くのかの判断はわたくしの能力を越えていることなのでわからない、としか言えません。
それも無責任ということでしたらやはり、しばらくは市場の力が勝るのではないかと予測します。極端なことをいうと国のみがお金を作っている仕組みそのものが崩れるかもしれません。
本来はわたしやあなたがお金を作ったっていいのです。その価値を保証する裏付けかあれば。そんな裏付けなどは出来ないし、一見できたと見えてもそれがインチキだったりしたら社会が混乱して経済活動どころではないので、一番信用できそうな、国家だけがお金を作っているいいことにしようね、と皆で決めただけです。
今回の国家主導のデジタル通貨に対する取り組みはその、国家による通貨発行権の独占を前提、もしくは維持するための政策であって、それに対する報道もそれを前提にした話ししかしていないので、それは甘いのではないか、と申しているわけです。
国家の通貨発行の独占が崩れた社会がどういうものになるのかというのは考えがいのある話なのでなんらかのアイデアが浮かんだらまたご報告しますが、そんなに利口ではありませんので、ご報告できるくらいのアイデアがでるかどうかは、わかりません。