時事その他についての考察

中国によるサイバー攻撃はごく一般的な行動であることと、会社制度の制度疲労、経団連の限界

大昔から技術的に遅れた国が先進国に追いつき、追い越そうとするときには、先進国の進んだ技術を取り入れようとします。

後々のことを考えると技術者を高い給料を払ってでも雇ったりしてルールの範囲内で技術を取り入れるのが一番であって、それができるときは大抵の国、地域はそうします。

しかしながら、先進国がその技術が国外に出るのを禁止している場合、それでもどうしてもそれが欲しい場合、これはもう、盗むしかありません。

別に、やっていいといっているわけでも、仕方ないから諦めろ、といっているわけでもありません。盗まれる側はそれをなんとか防ぎ、また相手を盗っ人呼ばわりして非難するのも、また、当然のことです。

申しあげたいのは、あたかも中国(ここでは取り上げませんがロシアも)が根本的に間違っている無法国家のように思ってはいけない、ということです。日本も盗まれる側なのでそう思いがちなのはわかりますが。

全く別の話になります。今度は日本側の制度の“あら”についての話です。

何年か前に定年退職をした日本の技術者が中国企業に雇われて技術を取られている、という報道が結構ありました。さて、この場合、中国側に何か、法律的、または倫理的な問題はあるでしょうか。全く、ありません。まあ、うまいことやられた、という感じですが、そもそもの必死さ、真剣味が違います。

報道をみた多くの人が思ったと思いますが、何故、有能でやる気もある人が定年だというだけで会社をやめなければいけないのか。そもそも定年とは何なのか。

これは、定年退職制度ひいては会社制度が時代が変わっていくのに追いつけていなかった隙間をつかれた、ともいえます。(ここから先はもしかしたら常識の範囲の話かもしれません。もしそう思われる方がおられれば読み飛ばしてください)

【定年退職のある理由】

・年齢が進むと仕事の質、量が落ちる。だからといって給料は簡単に下げられないので、一律に辞めさせた方が会社にとって効率がいい。

・働く側も年齢を重ねると、精神的、肉体的に仕事を続けるのは難しくなる。(仕事を辞めたくなる)また、日本の裕福な人たちには隠居という文化があり(外国のことは知りませんがおそらく同じようなものでしょう)それに似たものとして受入れられやすかった。

・組織には世代交代が必要であり、上の人たちがいなくなってくれないとそれが出来ない。

ただ、これらが成り立つためには新しい、若い労働力が常に補充される必要があります。それが保証されていたからこそ、定年を迎えてもまだまだ会社に貢献できる人材も、そうでない人たちと一律に退職させるのいう贅沢なこともできていたのです。

人工ピラミッドを見ればその前提が崩れ、新しい労働力がどんどん少なくなっていくことはあらかじめわかったはずです。また、仕事が充分できる年齢の限界が年々あがってきているのも現場に居れば実感できたはずです。

働く側の立場からみてもそれまでのように退職金と年金で大過ない老後を過ごせる人たちは少なくなってきています。もう、隠居(年金生活)などという贅沢は一部の人たちにのみ許される贅沢になっていまいました。

制度というものはそれが上手くいっていればいるほど、環境の変化にすぐに対応することは難しくなります。

定年をひとつの目安にするのはいまだにうまいやり方だと思いますが、その時に厳格な査定をして、辞めていただく人、仕事は続けてもらえるが給料、仕事とも下がる人(それぞれがどのくらい下がるのかも細かい査定が必要)定年前の仕事をそのまま続けられる人、を決めていかなければいけないでしょう。わたくしは今の会社制度について、全く詳しくはありませんが、報道等を見る限りでは単純に定年の年齢を伸ばすことと、それ以降も仕事を続ける時には給料の減額率も重要な仕事に関われる機会も一律に決まっているかのようです。この辺り、現役世代の能力を査定を厳格にして年俸制度を取り入れる会社が出てきているなどの報道とは矛盾しているので間違っていたら申し訳ないのですが、定年後の仕事の割振りをそれぞれの能力に応じて決めるのも上層部の大切で必要な仕事のはずです。社員は貴重な資源です。なんでも一律に決めたほうが揉め事は少なくなるでしょうが、揉め事を未然に防ぐまたは起こってしまった揉め事を適切に処理するのも上層部の仕事のはずです。手を抜くとそれは必ず帰ってきます。

と、ここまで書いたところで、経団連の偉い人が日本型の雇用形態は変わる必要がある、などといっているニュースを見ました。もう、絶望的ですね、笑わそうとしているのかと思ったくらいです。それは個々の企業がそれぞれ考えてやることで、上部組織が指示することではありません。変わらなければいけないのは、なによりも、一般社団法人 日本経済団体連合会です。

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