時事その他についての考察

ビートルズの革新性

ビートルズが革新になり得たのは単純に若年層がお金を持ち始めたからだ。

また、音楽的なことでいうと、それはジョンレノンの声とそれを盛り立てるリンゴスターのドラミングだと思う。

《今回の記事に、目新しいことは少ないかもしれない。少なくとも上の5行を読んで、それはしってる、と思われた人は読まなくていいでしょう》

ビートルズが社会に与えた影響を一言で表すならば、それまで年配者が全てを支配し、決めていた世の中に、若年層の意見、意向が反映するようになった、ということだろう。

では、もしもビートルズが存在していなかったら、世の中は昔のままだったのだろうか。

そんなことはない。いくらか変わるのに時間がかかったろうが、いずれはビートルズが起こしたのと同じ変化が起きていただろう。

冒頭に書いた通り、この変化は単純に若者層に経済力がついたことに由来する。若年者相手の商売が巨大なものになってきたのだ。

そうなると、年配者たちも若者の意見、意向に目を向けざるをを得ない。それまで年配者が全ての権力を持っていた世の中から、若者もいくらかの力を持つ社会に変わったのだ。

ビートルズは、そのきっかけに過ぎない。変わる寸前だった世界の、最後の一押しをしたもの、それがビートルズであったのだろう。

では、仮にその一押しをする役割を担ったものが、ビートルズではなく、流行しただけの、思想性も革新性もないものであっても良かったのかというと、答えはそうであるともそうではないとも言える。

前述しているようにそれがどんなものでも、いずれは社会を変える力になっただろうが、実際に起こったような劇的なものになったのはビートルズの持っていた革新性によるだろうからだ。

それでは、ビートルズの何がそんなに革新的であったのだろう。何が人々をあれほど惹き付けたのだろう。

音楽理論的なことは専門家が解説しているだろう。それはおそらく妥当な解説なのだろう。

しかし、流行したものには、どこかに革新的なもの、優れた所があるに決まっている。

それはビートルズでなくとも同じだ。その中でビートルズに特殊な意味合いを見出だすのは彼らの起こした現象が特別なものだったからに過ぎない。

つまり、音楽理論的にその原因を探すというのは後付けの理由づけにしかならないのだ。

と、他人のやっていることを批判しておいて、自分も同じことをするのだが、音楽において何を置いても重要なのは、その音色と、気持ちのいい所で音を鳴らしてくれるリズム感、もしくはタイム感であると思う。

ビートルズの場合には、音色というのはすなわち、ジョンレノンのヴォーカルであり、タイム感は勿論、ヴォーカルを含めた全員のものであるけれども、特にリンゴスターのドラムだろう。

そんなことは、ビートルズと同時代を過ごしてファンになった人たちには当たり前のことだろう。

しかし、そうではない、後追いで彼らの音楽を聴いた世代にはわかり難いことだった。

何しろビートルズは成長をし続けて、特にその成長はポールマッカートニーが主導したものであったので尚更である。

ビートルズの名盤と聞かれるとほとんどの人が活動の中盤から後半、「ラバーソウル」以降のものを上げるだろうから。(これを、好きなアルバムは、という質問にしたら結構答えはかわってくるのではないだろうか)

何故今頃こんなことを言っているのかと言うと先日ビートルズのコンサート映像を観たのである。それは、1964年のオーストラリア(多分メルボルン)で行われたものであった。

その中でジョンレノンの歌う「You Can’t Do That」が圧倒的だったのだ。

それを観てビートルズというのは最高のライヴバンドだったのだな、ということを初めて知ったのだ、そうして、初期のビートルズというのはジョンレノンだったのだな、ということを実感したのである。

ジョンレノンの声は世界を変えたのだな、と思ったのである。

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