先日、NHKの朝ドラ「スカーレット」の総集編が放送されていました。「スカーレット」については以前も書いたことがあるので内容には触れませんが、ただ、あらためて観てみて、あれだけの演技をされた戸田恵梨香さんはその後、大丈夫だろうか、精魂尽き果ててしまっているのではないか、という余計な心配をしてしまいました。
しかし、海外で小津安次郎監督の映画が評価されるのですから、「スカーレット」だって理解されないわけはない、と思うのです。日本は文化の爛熟期にあるようなので、諸外国に比べてもドラマや小説などの質は相当に高いはずです。もしも、日本が英語圏であって、吹替えや字幕なしで台詞が通じるのであれば、間違いなく、国際的に高い評価を受ける作品は沢山、あるはずです。
まあ、もしそうなってもわたしにはなんの関係もないことですが。しかし、もったいない。技術的に詳しいことなどは全くわかりませんが、脚本や役者の演技だけでなく、演出、カメラ、照明に音声、大仕事、小道具、劇中の音楽などなど、日本の一流は世界の一流なのだと思います。もしも、テレビドラマや映画が音楽家やスポーツ選手のように、言葉のハンディキャップのない仕事であったなら、そのまま国際的な評価を得られるのでしょうに。
よく知りもしないでいいますが、海外への作品の売り込みなどもあまりされてない感じがします。海外で人気のあるものとしては、マンガ、テレビアニメーション、「おしん」、黒澤、小津の映画、伊丹十三監督の「タンポポ」がアメリカで受けた、宮崎駿監督や大友克洋さんなど聞きますが、すべて、海外からたまたま“発見”されて、以外な人気が出たもので、日本のしかるべき代理店なりなんなりからの戦略的かつ、本気の売り込みの結果ではないようにみえます。まったくもって余計なことですが、これは職業的怠慢といっていいのではないでしょうか。日本の将来のあるべき道の有力な候補は文化大国になることなので、例えばNHKなどはBBCをはじめ、海外にもコネクションがありそうなので、励んでいただきたいものです。
先程も少し申しましたが、小津映画だってわかってもらえるのですから、“これは海外では理解されないのではないか”などという先入観は持つ必要はないと思います。そういったもののほうがかえって受けるかもしれません。映画「殿、利息でござる!」など、話すと長くなるので説明は割愛しますが、大変に面白うございました。(これもたまたまテレビでやってました)
一つだけ残念なのは“笑い”だけは役者さんの肉声ではないと伝わらないだろうことです。海外事情は知らないでいいますが、日本はお笑い先進国のはずなので、外国の人たちのためにもそれは残念です。