彼らは受ける物語を作り、現実をそれに当て嵌める。そして、当て嵌まらない現実は切り捨てる。
3/4日に見た女性の権利を巡る戦いを描いた回。イギリスで女性参政権獲得のために戦った人を皮切りに、アメリカで最高裁判事にまでなった女性を取り上げていた。
トランプとヒラリー・クリントンの間で争われた大統領選挙。その女性はその時にはかなりの高齢になっており、引退も間近とみられていた。
しかし、アメリカでは、最高裁の判事の任命権は大統領にある。ヒラリーが勝てばその女性が引退してもその後任は同じリベラル系の人が選ばれるだろう。しかしトランプが勝つとその座は確実に保守系の人物のものになってしまう。
周知の通り結果はトランプの勝利だったのだが、番組ではそれを女性の権利向上や社会進出を阻む勢力のせいであるかのように描いていた。
勿論、それも真実の一つではあるが、ヒラリーが敗北したもっと大きな要因は、彼女はエリート層の利益を代弁する立場にあると思われていたことにあるという話がある。
対して、トランプは選挙期間中、自らを没落したアメリカ中間層を救う存在であると強調していた。
どちからというと、勝敗を分けたのはそこにあるのではないか。
しかし、番組では自分たちの物語に都合のいい解釈しかされなかった。
NHKスペシャルに限らず、このような操作はありとあらゆる場所で行われる。そうして、彼らはプロであり、操作は巧妙であるので、知識のない者がそれを見抜くのはかなり難しい。
僕だって、たまたまヒラリーのジレンマを知っていたのでこうして批判ができているが、それを知らなかったら番組の筋書き通りに考えていただろう。