言わずと知れた、といいたいのですが、松本人志さんが新たに番組に加わったにせよ、関東圏での知名度は今一つのようなので一応、説明します。
視聴者からのさまざまな(本当に様々です)依頼を解決するべく、探偵と称するテレビタレント が一人(七人のタレントが廻り持ちで担当)依頼人のもとを訪れて問題や疑問の解決にのぞむ、という番組です。
ざっくりしすぎですけど、依頼の内容はというと、昔少し縁のあった人にあいたいから探して下さい、とか嫁さんと仲直りしたいから協力して下さい、などなどです。
さて、なんによらず、商売の大きな骨(コツ)として、消費者に渇望を持たせる、ということがあります。 小説やテレビドラマなど、ストーリーのあるものは、「次はどうなるのだろう?」といった気持ちを持たせることが出来れば、成功です。
わざと未解決の部分を残して、興味を持たせる、というやり方もあります。抽象画なんかがわかり易いたとえでしょうが、音楽でわざと不協和音を入れたりするのも同じ系統でしょうか。太宰治が小説の落ちによく意味ありげな 一文を添えていたのも同じ効果を狙ったものです。(今思い付くところでは、「思い出」「満願」)
これらがないと、面白く、興味をもってもらえるものでも、一度で満足されてしまって、次に繋がらないおそれが高くなります。
勿論、言うのは簡単ですが、実際にそういう効果を出すのは大変なことです。また、あまりにやり過ぎると、いわいる、あざとくなってしますのでバランスも大切です。
さて、ナイトスクープです。視聴者参加型のテレビ番組は、昨今、制作費をかけられなくなっているせいでしょうか、多くなってます。(テレビ東京は昔からその理由で、NHKは全く別の理由で―なにしろみなさまのNHK ですから―その手の番組が多いようです)
ナイトスクープは1988年からだそうですからかなりの長寿番組ですが、当時視聴者参加型の番組がつくられたのは、テレビ東京と同じ理由の予算の問題か、単純に企画が面白かったからか。しかし、プロであるタレントだけで成り立たせる番組とちがって、ロケーションをしたなかで放送できるだけのものができるのは、かなり少ないのではないでしょうか?三割とみましたが如何?
それで、このナイトスクープは内容は非常に面白いのですが、先程述べました種類の、番組を長く続けるための技を使っていないのです。一回ごとの放送で全て完結しています。ですから、押し付けがましいところがありません。もしも、番組を見逃すことがあっても、少し残念に思う位ですむのです。(申し訳ありません。白状しますが、随分前からテレビが調子わるくて、ナイトスクープを放送している局がうつらないのです)しかし、繰り返しになりますが、ナイトスクープの偉大な所は、見られなくとも、そんなには残念ではないところです。それでいて、また見られるようになったら間違いなく見るであろうという、視聴者の自主性、自立性が尊重される、成熟した、もしかしたら日本で唯一のテレビ番組ではないかと思う次第です。