安倍さんの深謀遠慮

これは善悪についての話ではありません。安倍首相の真意がはっきりとは読めないでいたのですが、新年の挨拶で憲法改正に対する意欲を話している姿を見て、ようやく腑におちました。

結局、というか、やはりというべきか、安倍首相は憲法改正を唯一最大の目標にやってきていたのですね。すべての政策はそれを可能にするために計画されてきたものと分析することができます。

今の日本で憲法を改正するためには膨大な労力が必要です。それを確保するためには、まず国を安定させて活力を上向きにしなければいけません。そのためには、まず経済を向上させなければいけません。政権の一番初めに取りくんだ政策が経済であったのは当然です。これは当時であれば誰がやったとしても同じでしょうが、違うのは安倍さんは常に最終目標である憲法改正を睨みながら行動しているということです。

同じく重要だったのは国の安全に対する取り組みです。これは戦後一貫していることなので単純ですが、民主党政権がぐらつかせたアメリカとの関係を修復することです。

振り返ってみれば、民主党政権の迷走は安倍さんにとって天佑といえました。ごく普通の政策に取り組んでいれば全てがうまくいったのです。さらにいえば、東日本大震災のときの担当政権が民主党だったというのは偶然といっても怖いくらいの偶然です。他の政策での駄目さ加減と合わせて、すべてを民主党の責任にすることができました。仮に震災当時の政権が自民党だったとしても適切な対応がとれたかどうかはわからないことです。(当然、嫌民主党政権の宣伝工作もあったのでしょう。いまだに私たち国民の間には民主党政権に対するトラウマがあります)

安倍政権の特徴として、目先の大きな問題には力を尽くしますが、少子化対策や格差解消の問題など、すぐには成果が出ないけれども将来的に重要な問題に対する関心の低さがあります。

何もやっていないとはいいませんが、端的にいって担当者まかせといっていいのではないでしょうか。

これはすべての政策は憲法改正への布石であることの有力な証拠です。とにかくすぐに成果を出して憲法改正への地ならしにしたかったわけです。

しかし、経済にしろ、安全保障にしろすぐに結果をだしたにも関わらず、そのまま憲法改正に突き進まなかった慎重さは瞠目されるべきです。まるで徳川家康のようです。

任期の問題もありますので、いよいよ本格的に着手するのでしょう。ただ一つ、大誤算になるかもしれないことをしてしまっています。

イランに対する姿勢です。これはほとんど唯一、大目標とは関係のない分野での大きなリスクを伴った政策です。皆さんはおそらく、それは石油のためだろう、といわれるでしょうが、わたくしはそれを最大のポイントとは見ません。

イランに対する政策は潜在的な嫌アメリカ感と将来的な対アメリカ対策の布石の現れであると推測します。

まず、日本のいわいる保守派は少なくとも潜在的にはアメリカを嫌っているでしょうから、アメリカに対抗する数少ない存在のうち、肩入れしやすいイランにいれこむのは心情的にわかります。

イランに対する一定の影響力を持つことができればアメリカに対する交渉のカードにつかえます。

しかし、これは危険なゲームといわざるを得ません。今回のソレイマニ司令官暗殺に対する対応によっては全てが崩れる可能性すら出てきました。

おそらく、知らない顔をするつもりでしょうが、イランにアメリカに対する揺さぶりの道具としてつかわれる可能性があります。もしもそうならなかったとしたら、それはイランに貸しをつくったことになるのです。

以前も書きましたが、できもしないことに手をだしたという面でイラン政策に関してはやっちまった感は否めません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です