覇権国家になる国は周りが羨み、人々が移民を希望して押し寄せるような魅力がなくてはいけません。
近くでは勿論アメリカがそういう国でした。強権国家のイメージが強いかつてのモンゴル帝国にしても、実際はシルクロードが整備され 、商人は無論のこと、あらゆる人々が集まってきていたことでしょう。堺屋太一さんによると、当時はヨーロッパの国々で、いわいるモンゴロイドといわれる胴長短足、扁平な顔つきで一重の男女が格好いいとおもわれていたということです。丁度、今、世界でヨーロッパ系の人が格好いいとおもわれているのと同じように。
ひるがえって今の中国にそういった意味での魅力はほぼ、ありません。人が押し寄せるどころか、出て行くくらいです。
毛沢東と周恩来は国を一つにまとめました。トウ小平は国が長く続けられるように経済政策を整えました。そうして今、中国は世界をリードする覇権国家になることを目覚しているようです。もし、今のまま、軍事と経済の力のみでそれを進めるとしたら、それはソビエト連邦のたどった道です。上手くいって、五十年続くのみでしょう。
周りからみても魅力ある国になるには。まずやらなくてはならないのは共産主義を正式に終わらせることです。習近平の一番やらなければいけないことはまさに、それだと思うのですが。
当然、そのシナリオも持っているはずです。ただ、一つにはソ連が崩壊したときのように混乱することが怖い、もう一つは自らがゴルバチョフの役割を演じるのが嫌だということもあるかもしれません。問題が残ったら後継にまかせればいいのです。それにゴルバチョフ、エリツィン、プーチンの三代を一人でこなす可能性だってあります。
しかしながら、広大な中国を治めるにはいずれにせよ強権的な手法を取らざるをえません。民主主義のような甘いことをいっていたら国がばらばらになってしまいます。民主主義 を経験した私たちは強権国家に魅力を感じることはもうできません。従って、中国が覇権国家になることはないでしょう。