トランプ氏が、充分な拠出金を出していないNATOメンバーは、有事でも助ける必要はない、という意味の発言をしたらしい。
これは、集団的自衛権の根底を否定するような意見だ。
トランプ氏は現在、勿論大統領でもなければ共和党の候補者ですらない。だからその発言が直ちに条約の性質を変えるものではない。
しかし、それは今後の世界の行く先を暗示している。
国どうしの同盟というものは、それぞれが条約を結んでいれば自国の利益になると考えているから起こり得ている。
ただ仲良くするだけでなく、同盟という形をとるのは、相手国が裏切らないように縛りを設けていることだ。(自分の国が相手を裏切らない、と保証するのは、相手国を縛るための犠牲だ)
さて、世界が究極的に平和で、どこにも争いがなく、今後もそんなものが起きる怖れが全く無い、ということであれば、同盟などというものは必要がなく、それが結ばれることもない。
反対に、どうしようもなく無秩序で、周りの全てが敵であるような時は、例え同盟を結んだとしても、それは簡単に裏切られるもので、一時的な気休めにしかならない。
現在はその中間であり、ある程度信頼でき、恒久性のある同盟が維持されている。
しかし、トランプ氏の発言が示唆するのは、世界は今後、より無秩序な方向にいくだろう、ということだ。
これを日本に当てはめると、日米同盟は盤石なものではなくなる可能性が高まり、日本は否が応でも自衛力を強化しなればならないということだ。
追記:大統領の再選を見据えてウクライナへの軍事支援の大幅削減、または中止を示唆したものとも言える。ウクライナがNATOへ充分な拠出金を出せるとは思えないので。