賛成する人、反対する人それぞれ自分の意見だけを言っている。
自分とは反対の意見に対する反論を言っていない。
当たり前だが、賛否それぞれにそれを言う理由や根拠がある。言い換えれば皆、間違ってない。しかし、我々が選べるのはその中の一つだけである。
自分の意見を言うのであれば、主張だけするのではなく、反対する意見への説得力のある反論は用意されていなければならない。
外交ボイコットする、しないのそれぞれの言い分を一応並べると次のようになるだろう。
・ボイコット賛成派
中国の人権。軽視は看過できない。
アメリカに同調しないのは国益に反する。
中国は嫌いだ
・反対派
隣国である中国との関係を悪くするのは危険。
中国とは経済で深く結びついている。関係悪化 が経済にまで影響すると、日本の景気回復に悪影響がでる。
他国の内政に干渉すべきではない。
これを踏まえてお前はどうなのだ、と言われるならば、原則的には、人権問題はたとえ他国のことでも見過ごすべきではないと考える。人権に対する冒涜は国境を越えて影響がでるのだ。自国のことではないからといって見過ごしているとその影響が自国内にも来てしまう恐れがある。それだけ人権というのは危ういものなのだ。油断すると直ぐに犯されてしまう。これは人権を重視する国と軽視する国の戦いだ。つまりは、人権重視と内政不干渉のどちらを選ぶかと言えば人権を取るということになる。
では、外交ボイコットに賛成なのか?と言われれば、ことはそう簡単ではない、と言わなければならない。
《ところで、一番強い手段が外交ボイコットになっているのは平和でいいけれど、中国に対して強い態度で臨まなくてはいけない、という主張をしている人たちが全面ボイコットを主張しないのは随分都合がいいことだと思う。外交ボイコット反対派を軟弱呼ばわりする資格はないと思うのだが》
これが中東やアフリカの国のことであれば、それでいい。
しかし、中国はお隣さんなのだ。日本は、万が一、中国が暴走してしまった時には大きな影響を受ける場所にあるのだ。
考えたくもないが、米中戦争が起きてしまったら、その経緯や結果に関わらず、日本は最前線になる。またしても、国土は焦土となってしまうだろう。(もしかしたら、米中ともに国内が戦場になることもなく、日本、朝鮮半島、台湾あたりだけが戦場となったまま終戦などという、はた迷惑なだけの結果になるかもしれない)
理想的には、日本は米中の調整役であるべきなのだ。それを実現させるためには、どちらか一方に片寄るべきではない。アメリカだって、本気で喧嘩するつもりはないだろうから、彼らにも日本の役割を理解させてアメリカに同調しないことが重要なので、それは評価に値するのだ、ということを納得させて欲しい。だから結論としては噂されているように、山下さんあたりが出席するぐらいでいいのではないか。
あと問題となるのは、決断までのスピードということになる。
もともと日本には主導権を握る力もなければ意思もないのだから、他国の動静を見つつ、当たり障りのないところでおさめる、というのは仕方のないことだ。その結果、当然、結論を出すのは遅くなる。
それだと格好が悪いというならば、いち早く、もしくは予め他国の態度を推し測ることのできる外交力が必要なのだろうが、残念ながらそんなものはなさそうだ。
ちなみに、当たり前だが、実際に決断する人たちは様々な意見を全て考えた上で決める。