横浜市在住の方に聞いたことだ。
その人は判断力、洞察力も人並み以上であり、また常識もネットを使った情報収集力も持っている人である。
その人が数多くいる候補者の公約その他を調べても決定的な情報が不足分しているので誰に投票したらいいかわからないのだという。
これは選挙の透明性の問題であろう。選挙だ、民主主義だといってもこんなものである。
またこれは横浜市ではない地方自治体の話であるが、その地の選挙に詳しい人に言わせると支持母体の勢力図を見れば選挙前に結果はわかるのだという。
世論の動向ではなく、支持母体で決まるのだという。人口40万人の市での話である。
しかし利益団体、支持母体で選挙の結果が決まるというのは別に悪いことではない。悪くないというよりも、自分の利益のための候補者を選ぶというのは民主主義そのものである。問題はどこにどんな利益があって、どういう経緯で支持者が決まったのだということが不透明なことである。
横浜市での選挙戦で一般にはろくな情報が出てこないというのは候補者に出すつもりがないからである。一般選挙民は相手にしていないのであろう。そこで決まるのではないのだから。
理屈で言えばこれは良くない。候補者たちはすべからく政策を明らかにし、さらにはどの集団の利益を代表するのかもはっきりとさせた上で選挙に臨むべきであろう。
しかし残念ながらそうなったとしたら状況は今よりも悪くなるのではないか。
それに似たことを国政で起こしたのが小泉純一郎氏である。
小泉首相誕生まで我々は自民党の派閥に基づいた政治というものは日本にとって不利益だと思っていた。
小泉氏によって経世会の支配は打ち砕かれた。地方でいうと支持母体が解体したようなものである。
その結果どうなったのか。社会にとって、何が良くて、何が悪いのかを判断するのは難しい。
そのなかで経済成長率は一つの指針になるので貼ってみます。小泉氏の首相在任は2001年から2006年です。
データをどう分析するかは難しいところがあるが僕は小泉氏以前も以後も変わっていないように思う。変わらないのならいいではないかというとそうではなさそうで、これは良い状態を維持していたのではなく、世界の景気動向その他からみて期待される成長率(2%と見る人が多かったように記憶している)をほとんど達成していないのだから合格とはいえない。
話が混乱して恐縮だが、だからといって派閥政治は維持されるべきだったということではない。これは社会の実情と合わなくなってしまっていたので解体は必然であったのではある。(小泉氏以後はまた元に戻ってしまった感もあるが)
民主主義といってもそれが理想通りに運営されている国などはないのだろう。各国がその実情にあった独自のそれを持っているのだろう。そうしてそれぞれその形は理屈ではなく、利益に基づいて決まっているはずである。
だからそれを変革するのも、理想に基づいたものを考えても上手いかない。
現実が変われば制度も変わるのだが古い制度の持つある種の力が新しい制度が現実に見合ったものになるのを邪魔することがある。
我々に出来るのはそれを注意深く見極めて制度が新しい現実に適したものになるように導くことぐらいだ。