時事その他についての考察

グローバル化はどこまで容認するべきか、またそれはどう決められるべきか

フランスの著名な学者である、エマニュエル=トッド氏によると、今までのところ、先進国のなかで新型コロナから受けた被害は、脱工業化を成し遂げ、国の主な収益が金融やIT業に移っている国、アメリカやイギリスなどで多く、未だ工業社会に止まっている国、日本、韓国などでは少ないということである。(JBpressのインタビュー記事による)※これはデータを読みといた結果であって、原因や因果関係は不明なのだと思う。

これはあくまでも現時点でのことに過ぎない、としつつも、(例えば日本と同じく工業国にとどまっているドイツでは、第一波は乗り切れたが、第二波では大きな被害が生まれたとのこと)それを受けてトッド氏の論調は、それぞれの国は各種生産物において最低限の範囲は、自国でまかなう必要がある、と進む。

私はトッド氏のいい読者ではありませんが、同じことを中国の台頭前、グローバル経済全盛期に彼が主張していた論説を読んだことがある。だから、彼にとって現在の状況は、自説の正しさを(またしても)裏付けるものである。

《しかしだからこそ我々読者は彼が自説に有利なように強引な論説を広げているのではないか、と注意する必要はある》

最低限の生産物は自国でまかなうべき、という考えそのものは特別なものではない。日本でも、事実上ワクチンの開発、生産を他国に任せる、という選択をした結果が今の国内でのワクチン摂取の遅れその他の弊害につながった、とう批判はなされていたところである。

個人的に心に残っているのは、故・野坂昭如氏が、戦中、戦後の経験をもとにしてほとんど死の直前まで、食料は海外に依存してはいけない、といい続けていたことである。

トッド氏と野坂氏の主張は正しい。

しかし、その正しさが明らかになるのは何らかの危機が起きたときである。

これは、津波への対策と似ている。千年に一度の確率に対して、常に必要な設備を整えられるのか。

しかし、似てはいるが、大きく違うのは、津波対策は防波堤など、たとえそれが巨額な財政出動が必要なものであったとしても、一度作れば長く保たれるものが主であるのに対して、グローバル化に反してある程度、保護主義を守るということは、平時に他国がグローバル化の恩恵を受けて大いに経済成長を謳歌しているときに同じ恩恵を受けられない、ということである。

それでも、成長が続いていればまだいいのであるが、不況になり、失業率が上がり、犯罪が増え、社会不安が増しても耐え続けなければ意味のないことである。

そうして、これは危機的状況が起きるまで、五十年、百年続くかもしれないのである

《さらに言うならば、危機が現実となり、他国が苦境に陥ったとき、黙って見過ごすわけにもいかないだろう。冬になって、飢え、凍えているキリギリスを見殺しにするわけにもいかないだろう》

当然のことながら、こんなことは時の政権の一存で決められることではなく、国民的議論が必要はことである。

しかし、“国民的議論”という言葉はよく使われるが、本当の意味でのそれはかつてなされたことはないし、そもそもやり方すらわかっていない。

どういうことかというと、“議論”と言われるに足りるには、その叩き台となる情報が知られ、理解されていなければならない。

もしも、適度な保護主義を採用するならば、そうせずにグローバル化を進めた場合に比べて、例えば、平均的な世帯での年収はどのくらい低くなるのか、しかもその差は年々広がり続けること、社会的なインフラ環境もどう違ってきてしまうのか、それに対して、危機的状況とは具体的にはどういうものか、今回のような未知の病原菌が蔓延するとしたら保護主義にはどんな利点があるのか、世界的な農作物の不作だとどうか、戦争だとどうか、さらにはそれぞれどのくらい発生する可能性が考えられるのか、などなど、複雑すぎてとても広範囲でのまともな議論ができるとは思えない。

本当のところ、それが国民的なものでなくとも、仮にもっと少人数、五人でも六人でも、たとえ二人であっても、理解力の低い、または感情的に話し合いに反対している人をまともな議論に加わらせる技術はいまだに知られていない。

仕事などの必要から独自に工夫されている人は数知れずいるだろうが、一般的な技術として知られていることはない。

それが可能なものなのかはわからないが、これは必要な技術、知識であることは間違いのないところである。

そうであれば、本格的な研究があってしかるべきはずなのだが。

はたしてこれは教育が進んだ結果、以前よりはまともになっているのかどうか。(教育は結局知識を教えるだけに過ぎないのならば、理解力の向上には貢献していないのならば、教育のあるなしは知能の向上とは無関係である)

《この問題はさらに考えなければならないのだが、とりあえずは終わりにします》

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