時事その他についての考察

①綾瀬はるかの“声”。②役者の知名度がドラマに与える影響

《以下の文章は、現在放送中のTBSのドラマ、「天国と地獄」の重大な謎に触れています》

【綾瀬はるかの“声”】

役者にとって、声が重要なのはいうまでもありません。

例えば、多部未華子さんは魅力のある役者ですが、その魅力の相当部分は独特な「鈴を鳴らすような」というのでしょうか、あの声によっています。

これは個人的な好みかもしれませんが、上ずったような、裏返ったような声は聞いていて気持ち悪く思います。個人名をだして申し訳ないのですが、高畑淳子さんや、永野芽郁さんは、いい役者だと思うし、好きでもあるのですが、声だけは、好きになれません。

現在、話題らしいドラマ「天国と地獄」に出演中の綾瀬はるかさんもいい声の役者さんの一人です。

かの、「JIN」では、普段は正に健気としか言えない、穏やかな話し方であるのに、いざというときに聴くものを叱咤し、また、激励する声質の変化が見事でした。(無事、産まれたかに見えたのだが、産声をあげない赤ん坊の両足首を持ってこれを逆さに吊し、背中を叩きながら「泣きなさい!」と叱咤した場面、手術中の部屋に押し入ろうとする武士の集団の前に立ち塞がり、凛とした声でこれを制した場面は印象的でした)

その綾瀬さんですが、「天国と地獄」のなかで男性として相手を威嚇して怒鳴りつける場面があります。(男性と心と体が入れ替わる、という設定なのです)

まず、このドスのきいた声に驚いたのですが、綾瀬さんはそれだけでは終わりませんでした。

物語も終盤に入り、残虐な殺人者が優しくも哀しい人生を送ってきた人だった、殺人を犯すにも相当な理由があった、ということが判明します。その人に対して、今度は元のと女性に戻った彼女がその人の運命を踏まえた上で、犯した罪を大声で責める場面があるのです。

その時の声が、同じ怒鳴り声でも、単純に相手を威嚇するものとはまた違う、怒り、いたわり、やるせなさ、絶望といった複雑な感情を見事に表現した、何というか、二つに割れたような声だったのです。

何をどうすればそんな声を出せるのかわかりませんが、まあ、見事なものでした。

【役者の知名度がドラマに与える影響】

その哀しい犯罪者を演じたのが迫田孝也さんです。

個人的には大河ドラマの「真田丸」で重要な役柄を演じておられてから馴染みのある役者さんですが、テレビではたまに見かける程度でした。

テレビドラマでの役者は、そのドラマにとっては、よく知られていたほうがいい場合と、知られてないほうがいい場合とがあります。まず、主演は華があったほうがいいし、視聴率のためにもよく知られたスターが欲しいところです。また、「天国と地獄」のなかでは、北村一輝さん、溝端淳平さんに当てはまることですが、既にその役者についたイメージに近い配役をすることで、視聴者が役柄を理解しやすく、作り手としても人物造形の手間が省ける利点もあります。

それに対して、今回迫田さんの演じる役柄では、知名度が高すぎると視聴者が勘ぐってしまい、作品に仕込んだ効果が台無しになる危険がありました。共演者のなかでいうと、野間口徹さんや林泰文さんには振れない役だったのです。

しかも、役としては相当に難しいものでもあったのです。はっきり言うと、役柄に無理があるのです。(但し、まだ最終回が残っているので、ここで新たな説得力か追加される可能性はあることはあります)なにしろ、かなりの善人でありながら、死者を辱しめることを厭わない連続殺人犯でもあるのです。

これに説得力をもたせるためには、脚本、演出、さらには照明や音声、大道具小道具衣装などなどの力が必要なのは勿論、役者の実力が不可欠です。

知名度は低く、しかし充分な実力を持っている。そうして、この役に持てる力を注ぎこめるモチベーションを持っている人。

このドラマの成功はこのキャスティングにかかっていたといっていいくらいの素晴らしい配役でした。

全く話は違うのですが、NHKの時代劇「 立花登青春手控」を観て、溝端淳平さんは“後輩キャラ”からの脱却を図っているのだと思っていたのですが、このドラマでさらに後輩キャラが、しかもドジで憎めない、という色つきで定着してしまいそうです。大変に余計なことですがこれからの苦労をお察しします。

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