《最近はこの種の議論が聞こえてこないのは、為政者たちが裏で上手く妥協しているのでしょうか。だとすれば、この文書は無意味なものになってしまいますが、ただ、水面下でいまだに駆け引きが行われているような気配もあります》
これは、理論的には実に簡単です。法人税を各国一律にできればいいだけです。こんなに簡単なことが表立って議論される気配すら見られないのは勿論、実行が難しいからでしょう。
なにしろ税の徴収は国家の基本権利のひとつの柱ですので、これをたとえ一部分でも国際的な合意に委ねることはもしかしたら軍事権を譲り渡すのに等しいのかもしれません。(少なくともそう考える人がいるのは間違いないありません)
また、仮にそれが実行に移されても、国家規模での税逃れが多発するだろうことも容易に想像できます。
しかしながら、不毛な法人税切り下げ競争、また優良企業の税率の低い国への脱出が終わらないようなら、真剣に考えてもいいのではないかと思います。(研究している人はいるとは思うのですけれども)
こういうことを言った時に困るのは、可能性などは全く考えずに、頭から否定してかかる人が非常に多いことです。(利害が絡んでいるならば理解はできるのですが)
男同士というのは、常に潜在的なライバルなので、物事を公平に見て、私情を入れずに相手に賛成するのは難しいのでしょう。私もこうは言っていますが、反射的に対話の相手の主張を否定しかけることがあります。
話を法人税のことに戻しますが、こういう無理目のことを考えるときにはEUを思わないわけにはいきません。あれも構想当初はさぞや批判されたことでしょう。いまだに、ことあるごとに批判する人はいるようです。その批判の理由が、例えば世界政府ができてしまったらおきるであろう惨事のように、(権力はやはり分散されなければいけないようです)人びとに結局は害をなすものだから、ということではなく、どうせそのうち失敗するだろうからという理由での反対であるときには、なんて恥知らずの人なのだろう、人が理想に向かって困難な戦いをしているときに、横で茶々を入れて邪魔をするとは、とあきれてしましますが。
これは日本国内の話になりますが、少し似ていることで、ビール類に対する税金の移り変わりがありました。ビールに対する高い税金を逃れるために発泡酒が開発され、それの税率も上げられると今度は第三のビールなるものが作られました。ほとんど無意味ともみえるこれらの開発のためにどれだけの(人を含めた)資源がついやされたのでしょう。やっとといっていいでしょう、税制は改正されましたが、民主主義における、政治と官僚仕事の駄目なところが露呈された出来事でした。(マスコミも同じです。今申しました当たり前の批判を、〔私は〕他から聞いたことはありません。この程度の疑問は多くの人が思っていたとおもいますが)