時事その他についての考察

政府や自治体ではない“町内会”の大切さ

スーパー・マーケットなど、パート・タイムの従業員が大きな戦力になっている事業所では、古参のパートが権力を持ってしまっていろいろな問題が起きることがよくあります。職場の空気が悪くなるとか、本来の責任者の指示がないがしろにされるとか。その中でよく見られる一番大きな問題はその人の意に染まない人や、そういう雰囲気が苦手な人が辞めていってしまうことでしょう。

しかし、物事には悪い面もあればいい面もあります。そもそも悪い影響しかないものであればそれは残っていない筈です。

古参パート従業員の持ついい影響力とは、秩序ができる(もしかしたら生まれるかも知れない派閥も出来にくくなる)、会社のマニュアルや指示だけでは目の届かない仕事を把握している、問題はあるにせよ、新人の教育を任せられる、顧客を掴んでいる人もいる、いい面での一番大きなところは仕事を任せられることでしょうか。責任者である社員は移動することが多いので、事業所ごとの独自の決まりごとの様なものは古参の人に頼ることが多くなります。

まあ、会社も考えているでしょうから、弊害しかないような従業員が生まれるような制度があればとっくに直しているでしょう。(ひとつの所に長くいるとそういう人ができ易いので、パートであっても近場であれば転勤されられる様に就業規則を見直す、とか、同じスーパーのなかで定期的に各部門の人材を入れ替えられる様にする、とか)

しがらみというものが一般によく思われないのは、それが平時大きな問題もなく基本的には順調に進んでいるときには弊害が目立つからでしょう。これが潜在的にもつ能力を発揮するのは危機的な状況の時です。

話が大きくなって恐縮ですが、第二次世界大戦後国土が荒廃し、それまでの支配層も追放されたり、服役したりなど、多くの人たちがその影響力を失いました。つまり、しがらみの少ない社会が出来たわけです。既存のものがなければ新しく優れたものが出来たときに以前のものを使って商売をしている人たちに配慮したり、その反対を受けることはありません。これは日独が戦後、高度成長を成し遂げることが出来た理由の一つです。私たち日本人はそれを自分たちの努力、能力と思いたいです。また、冷戦にその原因を求めることもありますが、なかなか、現実は複雑で私たちの能力ではこれを解きほぐすのは難しいです。

《少なくとも独善的な思い込みを防ぐ方法としてはデータ、数字で示すということがありますが、これも解釈を間違えたり、あるいはわざと自分に都合のいい解釈をしたりもできるので、 そのまま信用できるわけではありません》

ドイツのことはわかりませんが、日本が今、苦労している一つの原因は、そのしがらみが無かった利点を使いきったことにもありそうです。

《ついでながら、誰かが書いていたのですが、中国の躍進の原因の一つとして、文化大革命で支配層が殆ど一掃されたことを指摘していました。ちょうど日本の敗戦と同じことが、両者共にそれを自覚することなく、進展したわけです》

それでは社会というのは常に定期的に破壊や大きな新陳代謝をしなければいけないのか、というと、そうではない、というのが今回、長々と綴ってきて言いたいことなのです。

既に乗り手述べているように、しがらみやつながりというものは平時には邪魔に思えることが大きいですが、実はそれなりの見えにくい働きがあり、より大事なのは危機的状況のときにその真価を発揮するものなのです。

社会が分断化される。少しでも異物と思われる要素がある人達が差別され、非難される。

これは本能か?この本能を克服することが文化、文明というものなのか?本能ならば、どういう本能? 自分に近い血を守ろうとする、すなわち、自分の遺伝子に近いものを守ろうということか?

反対に自分たちとは違った血を入れるのは知恵なのか?知恵より本能が強いのは当たり前だが。最終的に本能がかつのはいいが、まだそこまでにはいっていないということ。そうであるならば、知恵を広めて無意味かつ有害な分断をやめ止めなければいけません。

日本は戦争に大敗して社会文化が壊されてしまったので庶民レベルのつながりが弱い。政府がコントロールできない大きな問題の時に上手く対応出来ない。ソーシャルメディアも有効だろうけれど、実生活の問題になるとほとんど無効。

日独の戦後の繁栄はその民族的優秀さによるよりも、敗戦でしがらみが戦勝国よりもなくなって、より、戦後の新しい社会に適応てわきたから。ドイツは知りませんが、日本の停滞はそのアドバンテージを使いつくしたから。しがらみも実は必要なものであり、平成以降はそれをなくしたことの弊害のほうが顕著に出てきている。ここで実例をあげなければいけないが。、、大きな社会の例は考えつかないが、スーパー・マーケットなどのパート主婦のなかでの古参の人が妙な権力を持ってしまうことの弊害と利点。そもそも、責任のない人間が権力を持つことがいけないのだか、派閥が出来にくい、秩序ができる、現場にしかない、マニュアルや本社にはわからない知恵が伝えられる、教育が厳しく仕事に規律が生まれる。本当に問題だけなら就業規則をかえるなど、会社が何か対策を考えるはず。

トクビィルもドラッカーも

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