時事その他についての考察

「虎に翼」の佐田優三さんを絶賛する人たちを嫌悪すること

「虎に翼」はNHKの朝の連続テレビ小説、通称朝ドラで 佐田優三とはヒロインの結婚相手で戦争で死別してしまう人。

一言で言えば限りなく優しい人。ヒロインを助け、励まし、生きる指針を授けてくれたような人。(こういう、強く優しく常に女性に寄り添うヒーローというのは韓流ドラマが元なのだと思う)

演じた仲野太賀の演技も相まって、抜群の人気を誇るキャラクターでもあった。

でも、これって昔の少女マンガのいわいる「白馬に乗った王子様」の現代版なんだよね。

昭和時代は一般に女性の幸せは結婚だった。だから、金があって、強く優しく、自分を誰よりも愛してくれる王子様が理想だった。それは結局はすべてを相手に依存することだったんだけど、そこには愛がある、という言い訳を入れることによってそれを正当化していたのだ。

平成から令和になって、さすがにそんなおとぎ話は通用しなくなった。一般に女性も仕事をして稼がなくてはならなくなった。

そうなると王子様の人物像も変わってくる。自分に対する無償かつ無制限の愛があるというのは同じだが、今度は女性自身も社会と対峙しているので、求められるのはそういう自分を助けてくれる存在だ。

だから、必要な時にはそばにいてくれる、限りなく優しい、言わなくても求めていることをしてくれるなどなどが新しい王子様像になる。

要点は、どちらの場合も自分は相手に何もしていないということだ。そうして、その点も「君はいてくれるだけでいいんだ」などという台詞で肯定されるのだ。

いや、これは勿論女性だけの問題ではない。男の場合はもっと酷いかもしれない。男版の物語ではまず、男は何もしない。本当に、何もしない。無愛想かつ無気力である。そうして、可愛い女の子(女性でなく女の子ね)が何故か積極的にぐいぐい迫ってくる。男はあくまでも消極的な振りをし続ける(うるせぇなぁ、面倒くせぇなぁみたいな感じ)そのうち、女の子が、どうしてわかってくれないの!みたいなことを言って、やっと抱きしめてチャンチャンだ。

もう一度要点を言うと、自分は相手に何もしていない、ということだ。

実は「我々は、自分からは何も与えずに、相手から貰うことだけを望んでいる」のだ。