端点にいうと、その経済政策をどう見るか、ということに尽きる。
それは、一般に財務省が主張していると伝えられる財政均衡が正しい、という見方を支持するか、財政均衡などは無意味で、景気対策こそなすべきことだ、という主張をとるか、という問題になる。
それ以外のことは本来議論の余地すらないことだ。順に挙げると、
・自民党総裁選で嘘ばかり言っていたこと
「国民所得を倍にする」「増税はしない」「新しい資本主義をつくる」今となってはこれらは全部嘘、よく言ってもその場限り、場当たり的に言ったことだ。
しかし、政治家が評価されるべきなのは結果だ。結果とは、国民のためになることができたかということだ。
嘘を言ったことが悪いのではなく、すぐバレる嘘をついたことがいけない。(その嘘すら誰も咎める人がいない。すなわち、政治家の嘘は世間から許されている証拠)
しかし、それも結局は結果がどうなるのか、ということに尽きる。
個人的には、所得倍増などできるわけないだろうというのはあった。増税は、先述した、財務省の考えをとるのであればやらないわけにいかないことだ。(この辺は政治に詳しい、財務省と岸田首相の関係を知っている人にはわかっていたことだったのだろう)
新しい資本主義というのは、何となく受けが良さそうな概念を、総裁選に勝つためだけに訴えたのか、一応の計画はあったが、出来そうにもなかったのですぐやめたのかわからない。もしかしたら、今でもやる意志はあるのかもしれない。
・軍事費倍増
倍増はともかく、隣りに中国という巨大軍事国家がある以上、これに対抗できる軍事力が必要なのは、本来、言うまでもないことだ。
これに反対する意見があれば、これは、別途長々と説明しなければならないだろうが、そういう人たちには説明しても通じないだろう。
・自民党政治が腐敗している、と言われること
長期政権が陥る不可避な現象だろう。どの程度腐敗や、似たようなものだが、癒着が進んでいるのかはわからない。しかしこれは自民党長期政権の問題で、たとえ首相であっても岸田氏個人ではどうにもならないことだろう。
岸田首相の政策は、そのほとんどが、我々一般人の生活を悪くするものばかりなので、支持率が下がり続けているのも当然だろう。
直接我々のためになっているのは、ガソリンへの補助金くらいではないか。
しかし、確かに当分大きな選挙がないということはあるが、次々と評判を落とすに決まっている政策を実行する手腕には驚く。何で我々のして欲しいことはやらずに、やって欲しくないことは簡単にやるのだろう、と愚痴りたくなるくらいだ。
しかしながら、もしも、財務省が正しいとしたら、岸田氏は歴史に残る名宰相と言われることになるかもしれない。
もしも、財務省が時代の変化を読めていないのだとしたら、金本位制に固執して経済政策を誤った、浜口雄幸と同じ間違いをおかしていることになる。
さて、どちらが正しいのかということになるが、第二次安倍政権が、その発足から、新型コロナの発生で政権を投げ出すまでの長期間、金融緩和を続けることができた、ということそのものが、財務省の間違いを証明していることになりうる。
リフレ派とか、MMTなどというが、理論というのは、結局は現実の裏付けが無ければならない。そうして、日本の現状を見ると、その裏付け、証明はある程度なされていると言っていいのではないか。
このままで行くと、日本は世界各国に先駆けて、リフレ理論、もしくはMMTの正しさを証明したにもかかわらず、何故か旧態の財政均衡論に戻ってしまった、ということになるのかもしれない。
しかし、どうも岸田氏には自分が無いような気がしてならない。つまり、自分独自の政策を実行する、というより、周囲の有力者、有力な権力の意向を取りまとめる能力が高いという人、に見えて仕方がない。意向は取りまとめられているのだから、実行が簡単なのは当たり前だ。
国民の利益や意志が無視されているのも、その有力者に国民は入っていないのだから、これも当然のことなのだろう。
(有力者に国民が入れない、というのは、選挙という制度がほとんど機能していないからだと言えよう。この問題は結構大きいので、別途考える必要があるかもしれない)