慣れるといっても色々ある。
例えば、匂いに慣れる、ということがある。
初めは、嫌な匂いだな、とか、臭い、と思っていた匂いも、その匂いのする環境にずっといると慣れるというか、気にならなくなるというか、その匂いそのものに気付かなくなる、ということがある。
どうしてそういうことが起きるのか、それは、生き物が匂いを感じるという理由の一つに、危険な物事を察するため、ということがあるからだろう。
危険というのは通常ではないことが起こることでもある。
通常ではない、ということは異常ということだ。
匂いに限らず、生物には異常を感じとる能力がある。
それを感じ取ることができないと場合によっては命に関わるからだ。
普段、嗅ぎなれていない匂いがすると我々は敏感にそれを感じ取る。
しかし、その匂いが何時間たっても、何日たっても続くと、言い換えれば、匂いがあることが異常ではなくなり、通常になると、そこに匂いがあることにすら気付かなくなる。
匂いに限らず、同じことは我々が危険を感じ取るあらゆる能力に当てはまることだろう。