入管法は、2021年3月6日、名古屋出入国在留管理局に収容中亡くなられたウシュマさんの事件があってから注目されていた。
実際に、今回の改正案が議論されていた国会を遺族の方々が見に行っている映像がニュースでも流れていた。
しかし、調べてみると、ウシュマさんの事件と、今回の改正は全く関係のないものであった。
ネット情報だが、もともと、2019年に、今回の改正案の基といえる案件が国会に提出され、廃案となっていた。
廃案となった理由としては、改正案は、従来の入管法よりも、難民申請者などに厳しい措置をとれる改正案だったため、人道的に問題があるということだったらしい。
この法案が提出されたのは2019年なので、2021年に起きたウシュマさんの事件よりも前ということになる。
今回、新たに提出された改正案は、その時に廃案になったものに手直しをして出されたもので、そもそもウシュマさんの事件とは全く関係がないようだ。
ネットでも、おそらくは大手メディアでも、改正案は前回廃案となった法案と同じく、人道上認め難い法案だという論調が主流だ。
その問題の是非はひとまず置く。
私が考えられないと思うのは、改正が難民認定の要件など、いわば管理局に収容するか本国に送り返すか、ということに特化して、ウシュマさん事件で明らかになった収容された人たちの扱いの問題に触れていないことだ。
(監査人、というものを認定して、その管理のもとで収容所ではなく、親族などのもとで暮らすことができる、という改正点はあるらしいが)
つまりは、あれだけ問題となったウシュマさん事件は完全に黙殺されている。
その黙殺された改正案が平然と提出されていることが恐ろしい。