戦争を後から振り返って、あそこが分岐点だった、あの時にこうしていれば良かったというのはよくある。
戦争が終わった後に、今後それを起こさないように仕組みを作る、というのも一般的だ。
大切なはずなのにあまり見受けられないアプローチがある。
人類の長い歴史の中には、勢力争いその他のことから戦争が避けられないのではないかと思われた事態だったのに、それが未然に防がれたことがあるはずである。
私は浅学にして具体例は知らないが無いはずがない。ただそれは未然に防がれた故に大きな出来事としては記憶されず、史実として埋もれているのだろう。
(知られた例で言えばキューバ危機がある。しかしあれは構造的な問題であったというよりは、突発的な出来事と捉えるべきであろう。米ソ冷戦であればもっと、広く、長い視野に沿った分析が求められるというのがこの文の結論でもある)
本気で新たな世界戦争を防ぐ気があるならば、そういう埋もれた史実を掘り起こして今後に生かす研究をするべきであろう。
できれば映画や小説にしてもらって、広く知らしめてもらいたいものだ。
そうして、戦争の英雄よりも、戦後の秩序を確立させた偉人よりも“起きてしまう運命だった戦争を防いだ人”こそが本当の英雄なのだということを広く知らしめるべきであろうと思う。