例えばドラマや流行歌、小説にしろ詩にしろ多くの表現が人間の心の欠落を訴えている。
私たちはその欠落が個人的なものだと思いがちだ。だからこそ、自分の心に沿うような表現にうたれる。
しかし、考えてみれば当たり前のことだが、これは個人の問題ではなくて、全人類共通の課題なのだ。
言い方を変えると、ほとんどの人間が心の欠落を抱えている。
だから、これはただ冷静に問題解決に努めるべきことであって、悩む種類のことではない。
なぜならこれは個人の問題でも、個人が解決できる問題でもないからだ。
じゃあ、どうして我々は欠落しているのかと言うと、それは他の生物に伍して進化し、成長し、競争に勝つためだろうということになるだろう。
考えてみれば、幸せ一杯でもう何も要らないという生物は何の行動も起こさないだろう。
ただ、生物であるからには新陳代謝は絶対に必要なことであり、それは具体的に言うと、腹は減るし、交尾欲はあるはずなのだが、それ以外の欠落がなければ、単純に先人のやっていた通りのことをやるだけになろう。
人間はそうではない。
我々は、常に不安、不満、欠落した思いを持っている。
正しく、それが人間を突き動かしてきた原動力だ。
これが宇宙の進化での普通の発展形態なのか、地球の進化が異常だったのかは知らない。
ただわかるのは、人間が繁栄しているのはその欠落した思いがあるからだということだ。
その認識を持った人には何も言わない。そうでない人にはあなたは悩んでいるのではなく、悩むように仕向けられているのだと伝えたい。