《これは少し前に書いた「世界の時価総額云々」を別の角度から見たものです》
香港でまた、民主主義を支持する新聞が廃刊になったというニュースが出た。
我々はこれを見て、中国に対する不安や恐怖、嫌悪感を感じてしまうのだが、当の中国の人たちはどう感じているのだろうか。
勿論、中国本土ではそういうニュースは流れないのかもしれない。知らなければ感じてようもないが、しかし自分たちが日頃から受けている言論統制などはあるだろう。それを全く感じていないわけはない。
これは推測に過ぎないが、それでも中国は日本やアメリカなどよりはまともで、自分たちは恵まれていると思っているのではないか。
すなわち、我々が中国の悪い部分を特に聞かされるように、中国の人たちも日本やアメリカの悪い部分を強調して聞かされているだろうからだ。
その材料に不足することはないだろう。特にアメリカに言えるが、それは所得格差の問題であり、一向におさまらない人種差別であり、迷走しているとも捉えられる政治でもある。
また、中国のように成長している社会には活気と希望があるので社会に対する不満が生まれにくいこともあるだろう。
それに対していわいる西側先進国は没落に向かっている、と主張することもできるだろう。
言論を統制されて、尚、そういうプロパガンダを繰り返して吹き込まれればそう思い込んでしまっても不思議はない。それはまた、全部が間違っているというわけではないのだから。
いわゆる西側諸国がそういう中国の言い分を無効化するためには自分たちの負の部分を改善きなければいけない。そして、そういう改善させる力はもしも中国という異質な国家が無ければ今よりも弱いかもしれない。
かつてソビエト連邦が強力だった時には共産主義の主張を無効化するために西側諸国はことさら自らの優れた部分を伸ばす必要があった。
社会民主主義政策が多くとられたのはそのお陰もあろう。ソビエト連邦崩壊後にそういう政策が後退して、資本主義の負の側面が強く出てきてしまっているのも偶然ではなかろう。
どうやら我々は一つの価値観でまとまってしまってはいけないらしい。そうなると暴走してしまうようなのだ。
中国の台頭は厄介な事柄のようでいて、僥倖なのかもしれない。