時事その他についての考察

法人税の下限を決めたのは結構ですが

《税の問題は最終的には全世界で一括してすべての税金を徴収して条件に応じて各国に分配するまでしなければ解決しないかもしれない》

これは国家とグローバル企業との争いである。

グローバル企業の力の源は勿論市場が全世界に広がったからに他ならない。その広がり、市場の一体感はかつて世界的企業が多国籍企業と言われていた頃とは比べものにならない。

企業が国境にとらわれずに活動しているのに国家がそれに固執していては彼らを制御することは出来ようがない。

先進国がG7で法人税の下限を決めたり税の払いを本社のある国ばかりでなく実際に稼いだ国へもするというのも大変結構なことだ。(今までも本社のある国以外では全く税の支払いをしなかったわけではないだろう。その辺りの詳しい話は知りません)

しかしそれで全面的に解決とはならないだろう。なぜならあくまでも先進七か国だけの合意だということ。決まり事には抜け道がつきものだということ。今後巨大な力を持っているグローバル企業が政策決定に関わらないわけがないことなどの懸念があるからだ。

結局のところ最新のテクノロジーを駆使して活動をしている企業に対して国家というものは昔ながらの法律を武器にするしかないのでこの戦いは極めて不公平なのだ。

企業を黙らせる手段は勿論ある。国家の持つ最高の力、それは武力でありそれを行使すればいいようなものだがこれは簡単には使うわけにはいかない。

使わないのは別に倫理的な理由からなどではない。使ってもあまり良いことがないからだ。

国家が力で企業を押さえつけてしまうと経済が停滞してしまう。中国が正に今その段階にある。今後の中国経済には期待は持てない。国民の不満を煽って政情不安になるかもしれないこともある。

それらの流れからみて、将来税は国家に縛られずに徴収されそこから各国に分配されることをなる可能性が高いのではないか。

本当はこれは良いことではない。権力というものは分散されたほうがいいのだから。

だから決して望ましい手段ではないがそうせざるを得なくなるかもしれない。

その手始めと言えるのかもしれないことは既にはじまっている。以下は財務省がTwitterで公表したツィート。

《BEPS(ベップス。Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転))プロジェクトとは、多国籍企業による国際的な課税逃れを防ぎ、公平な競争条件を整えるため、日本も参加してOECDが中心となって進めたもので、2015年10月に主要国間で合意し、今や130か国以上が参加する一大プロジェクトです

背景には各国がリーマンショック後に財政状況を悪化させ、より多くの国民負担を求める中、多国籍企業による各国税制や国際課税ルールのずれを利用した課税逃れへの批判の高まりがあります。BEPSプロジェクト参加国は合意内容に基づき国内法整備や租税条約改正を行っています。》

ところで国家の枠組みを越えた取り決めを行うにはヨー ロッパがEUでした経験が多く役立つだろう。たとえ経済ではトップランナーではなくなっても目指すべき社会のあり方を示す理念においてまだまだ世界は西洋に頼らなくてはならない。

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