時事その他についての考察

ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の松たか子が素晴らしい

良いことかどうかはわからないが最近ドラマを観るときは筋書きなどよりも役者の演技を主に観ている。

放送中のもので私が観ている範囲では「イチケイのカラス」の黒木華、「レンアイ漫画家」の吉岡里帆と鈴木亮平、「コントが始まる」の仲野大賀と有村架純、「今ここにある危機とぼくの好感度について」の鈴木杏が素晴らしいが「大豆田とわ子と三人の元夫」の松たか子は頭抜けている。

ネット上では脚本を褒め称える発言や他の出演者を評価する声も高い。それらを読んで成る程と思ったりもするが私にはこのドラマはひたすら松たか子の演技を堪能する一時間に他ならない。

脚本や他の演者や演出やカメラ、照明などなど素晴らしいのだがそれらはただただ松たか子の演技を引き立て、それに奉仕する役割のためにあるように見える。

微妙な感情表現や台詞のトーン、間合いなど全てが見所なのだが特に先日放送された回での松たか子の目覚めの場面が可愛すぎてびっくりした。それは新しく恋が始まった故ということなのだがその可愛いさは絶好調時の新垣結衣に匹敵するほどだった。これは松たか子の実年齢を考えると脅威だ。(可愛さはともかく演技において)このドラマは実はアメリカに松たか子を売り込むためのプロモーション用に作られたものだと言われても信じたくなるくらいである。

大体単純にへらへら笑って観ていたのだがこの文章を書くにあたって考えたことを二、三述べます。

主人公である大豆田とわ子は三回の離婚歴がある魅力的な女性である。そうして別れた元夫たちはとわ子のことがまだ好きで何かととわ子の自宅に押しかけたりもする。(一番目の夫であり一人娘の父親でもある松田龍平だけは微妙であるがそこは置いておく)

三人の独身プレイボーイが他人の赤ちゃんを育てる羽目になるとか、やはり独身プレイボーイの人気ニュースキャスターのもとに実の娘であると主張する小学生が三人押しかけてくるとかと同じく状況設定としてはコメディの王道といえる。

主人公は「しろくまハウジング」という建設会社の社長である有能な女性である。プライベートではコミカルな出来事が、仕事上ではシリアスな問題が次々と起きる。とわ子はそれらに常に真摯に向きあう。

真摯に向きあってはいるのだがそれはとわ子の能力のうち、それらの問題の解決に必要な部分を使って対処しているのであって全人格で向きあっているわけではない。いわば決められた役割をこなしているようなものだ。

(こういう書割りめいた表現になるのはフィクションにおいて避けにくいことでもあるし、実は実際の人生にも起きていることでもある)

しかしそんなとわ子が唯一全人格で向き合う存在がいる。それが幼なじみで親友でもある市川実日子演じる綿来かごめである。

三人の元夫が入れ替り立ち替わりまたは同時にちょっかいをかけてくるというのは状況としてあり得ないようなことだ。それに対してかごめは人格が非現実的な存在である。三億円もの祖母の遺産を親族に無断で慈善団体に寄付したり、好意を持ってくれて自分もそうである男性、人格収入ともに申し分のない男性との約束を「恋愛になるのは面倒」(だったかな)という理由ですっぽかしたりする。

しかし物語はこの重要かつ魅力的で唯一無二の登場人物を殺してしまうのである。どうするのかと思っていたらすぐにとわ子が全人格で向き合う二人目の登場人物であるオダギリジョー演じる小鳥遊大史があらわれた。つまりかごめは邪魔になったのだ。

勿論かごめも含めた話にすることも出来るだろうがそれにはワンクール?では足りない。それで物語から退場願うことにしてそれなら海外移住などの設定にするよりもいっそ死んでもらったうが盛り上がりも作れるという実にお得な展開が出来たのであった。

(かごめは過去でありそこからオダギリジョーが表す未来へ向かう物語なのだというような解釈も出来うるが)

さて、謎めいた二重人格的なオダギリジョーに好意を持って(プライベートでは)楽しく過ごしていたとわ子だが彼の告白を聞いてその楽しさは全く無くなった。彼の課せられている呪縛と無意識にしかし必死にそこから逃れようとしている彼の心に気付いたからである。

(他人と触れあうのを避けてきたオダギリがとわ子がバスに忘れてきた、たかだがシナモンパン?を取り返すために必死でバスを追いかけるのである。これは心の底では人と、特にとわ子と繋がりたいという強い想いのあらわれだろう)

その心に気付いたとわ子の気持ちは恋心から使命感に変わったのだろう。しかも対峙しなければならない相手は強大だと思われる。ウキウキしてはいられなくなったのだ。

またこれで元夫たちがとわ子に執着し続ける理由もわかる。とわ子という女性はか弱い男を庇護する母のような女神のような存在なのだろう。

この解釈があっているのかどうかわからないし先の展開もわからない。本当は話はどうでもいいのだ。松たか子さえ存分に実力を見せつけてくれれば。

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