時事その他についての考察

清原果耶さん

清原果耶といえば2019年最も注目された若手女優さんです。本来ならば、朝ドラの「なつぞら」で初めてその存在を知った私なぞが出てくる筋合いではないのですか、ちょっと、びっくりすることがあったので、それだけ言わせて頂きます。

清原さんは、今(2020年3月7日現在)NHKの時代劇枠であります土曜ドラマの「螢草 菜菜の剣」で主役を張られているのですが、初回、二回目と観ていって、少し不安になってきたのです。私は清原さんは、さっき言いました「なつぞら」と、その後にあった日本テレビの「俺の話はながい」しか知らないのですが、その二作品は全く違う役柄にして、それぞれに素晴らしい出来映え、さらに、わずかの間に成長までみられるという、正に末恐ろしいとはこの娘さんの為にある言葉なのではないのか、と思う位の演技だったのです。若手の勢いなどの話ではなく、単純に女優として素晴らしいという、何故こんな、女優経験も人生経験も浅いだろう人にこんなことが可能なのかもわからない位で、(現在18歳だそうです)あのう、本人のためには良くないことのような気はしますが、もう、大女優といってもいいと思うのですが。

それがです、その「螢草」では、いい演技ではあるものの(上からの言い方はご容赦ください)「俺の話」と比べると、少し、演技力が落ちたかな、という感じだったのです。ところがところが、その後、実は「螢草」はBSで以前放送されたものの再編集版ということを知りまして軽く腰を抜かした、いうわけです。

収録日は全く知りませんが、放送日でいうと、「なつぞら」2019年4/1~9/28 「螢草」2019年7/26~9/6 「俺の話はながい」2019年10/12~12/14でして、(しかし凄いスケジュールです)つまりですね、私の節穴の目がそれほど節穴ではないとするならば、「螢草」で演技力が少し落ちたのではなく、「俺の話」で少し上がっているのです。だって、ほとんど間はあいていないのです、しかも、「螢草」は回が進むにつれて感情を伴った演技が出てきて、それは素晴らしいものでもあったのです。

しかし生意気なことを言わせてもらうと、演技の本質は派手なものよりも、日常を演じるもののほうに表れるように思います。

高峰秀子さんがアイドル的な女優であることに限界を感じていたときに観た映画のことをエッセイに書いているそうです。その映画のなかの何でもないような場面に驚嘆したそうです。それは若奥さんがベランダで洗濯物を干しているだけの台詞もなく、顔もろくに写らないシーンだったらしいのですが、その自然な後ろ姿に大袈裟にいうと戦慄したそうです。高峰さんはわざわざ調べたらしいのですが、その高峰さんを戦慄させた女優さんは、まだ一般には無名だった杉村春子さんだったそうです。

別の話です。伊丹十三さんがやはり映画を観たときの話です。お通夜の場面だったのですが、若くして夫を亡くした若奥さんがお焼香をする人たちに正体して座っていました。その時、目を落としたまま、髪を直すように、右手をすっとあげかけ、しかしそれをそのまま膝に落としたそうです。伊丹さんはすっかり感心してしまって、これは直接、その女優さんを誉めたらしいです。そうしたら、その女優さんがいうには、その役が決まってから、たまたま亡くなられた方がいて、お通夜に参列したらしいです、そうして、そこにいらした正に自分のやる役と同じ立場の奥さんをずっと、観察し続けたそうです。(その人も女優だったそうです)伊丹さんを感心させた演技は、その時、その奥さんがやられたことをそのまま、やったことだったということです。

清原果耶さんに話を戻しますが、感情を込めた派手な演技もいいのですが、あの女優さんの本質は今挙げたような、何気ないところを掴まえる演技にあるような気がします。今後、どういう演技者になっていくのか、楽しみでもあり、怖くもあります。

この女優さんは、これからどうなっていくのか、どうなってしまうのか、恐ろしくも楽しみであります。

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