少し前の話で恐縮です。あのひとは、実に正しかった、と言う話です。
こいつは何を言っているのだ?とお思いでしょうから補足させて頂きます。元アメリカ大統領の故ケネディ氏の未亡人、ジャックリーンさんの再婚相手であった、海運王オナシスさんの言葉です。いわく、「金などというものは、世の中に女がいなければ何の意味もないものだ」
どうですか、この短くも真理を突いた言葉は。
さらに首を傾げてらっしゃる。古今亭志ん生なら「よう!このビクターの犬ぅ」と囃すところです。
太宰治の、確か「きりぎりす」という短編の中にあったと思うのですが、語り手の女性がいうには、男が、一所懸命何かをやっていると。それで、女はあんなに頑張ってるのだから立派なことなのだろう、と思いこれを懸命に支えていたら、何のことはない、男がやっていたことは、女に見せて、その関心を引くためののパフォーマンスであった。ということに気がついて愕然としました、と。
詳しくは知りませんが、フロイドのリビドー説(人間の行動のほとんどは、その原動力は性欲にあるという説だったと思います。フロイドは晩年、これを 否定したと聞いています)も同じことを言っています。
オナシスも太宰治もフロイドも関係ないのです、本当は。私たちは自分の心を覗けばいいのです。必死になって、金や地位を得てまでして(もしくは得られたならば―失礼!―)本当に欲しいものはなんだったか?
和歌山のお金持ちさんは、私たち皆が持っている根本的な欲望に忠実に生きたのでしょう。人からはいろいろ言われたでしょうに。誰にでも出来ることではありません。
ところで、お金の目的がそうであるならば、貨幣起源説にも影響があっていいのですが。