怒らない人というのがいる。
何故、その人たちは怒らないのか。実は、多くの場合、そういう人たちは他人を軽蔑している。
他者を自分より遥かに劣った存在だと定義すればその言動にいちいち腹を立てずにすむ。
しかし、それでは余りにも傲慢ではないか。
そういう、アンガーマネジメントと傲慢の間にある矛盾を解決する方法がある。
それが法華経の主張する「全てのものには仏性がある」という思想だ。
これは、全ての生きている者たちは、悟りを開いて仏になる素質がある、という考えだ。
これを受け入れると、今は軽蔑されても仕方ない者でも(輪廻をくり返す内に)いずれは仏になるかもしれないということで、軽蔑の中にも尊敬を含むことができる。
また、今は人を蔑むことができるだけの根拠を持っているかもしれない自分も、以前はそうではなかった、という事実も突きつけることになるので、謙虚にならざるを得ない。