「あってはならない」という言い回しとそれを使う人が嫌いでね。
嫌いだから、何でそんなに腹が立つのかということを考えることになった。
こんな傲慢な言葉は少ない。こんなことは世界の規則を知り尽くしている存在でしか言えない。
そんな存在はいないのだから、この言葉を発する人は、自分がそういう存在であると思い込んでいる人ということになる。
あなたの考えるルールなどは知らない。そんなものが全て世の中に通用するわけではない。
更に言うと、そんなに何かを責めたくてそれに確信があるのならばもっと強い言葉できちんと責めるべきなのだ。
「許せない」とか「断罪されるべきである」みたいに。
しかし、あってはならない、という台詞にそこまでの強さはない。
それはつまり、自分を良い人枠に留めようとする意図があるからだろう。
「許し難い出来事に遭遇しても、それを正当に責めつつ、しかし過剰に責立てることもなく冷静な私」とでと言いたいのだろう。
(と言ってはいるが、腹が立つということは、自分にも覚えがあるということだ。実際にその台詞を使ってしまいそうになったことはあった。辛うじて堪えたと思う)