時事その他についての考察

日銀の政策金利引き上げに対する報道や解説

マスコミは円高を是正するためと解釈。また、インフレ目標もほぼ達成し、更に進みかねないから、という日銀の説明も受け入れ、概ね好意的。

景気対策を重視する層は、またも上向きかけている景気を一気に冷ます間違った政策であると酷評。また、金利が上がることで確実に得をする金融界に配慮またはその圧力に屈した結果と捉えている。円高については、自国通貨は安ければ安いほど有利であるという説を主張。

いつもの事なのだが、双方共相手方に対する決定的な批判にはなっていない(最もマスコミは日銀に迎合しているだけであり、反対論には触れもしないので批判すらしているわけではない)

従って、ここでは日銀の政策を批判している層に対して論じる。

まずは彼らの言う、景気の腰を折る、という批判は、実際に当然の如く株価が大幅に下がっていることからその批判には正当性はあるとは言える。

しかし、彼らは急激な円安や円高が起きると社会が混乱するという事実には触れない。

実際に通常の政策をしていて、かつ自国通貨が安いのであれば、それは理想的であるのだろう。

しかし、それは経済界や一般社会がそれに対抗して、備えていれば、という前提が必要だ。

それが出来ていなければ、輸出企業だけが得をすることになる。

また、自国通貨を安値に誘導する政策は、一般に近隣窮乏化政策と言われる。つまり、自国さえよければ、他国はどうでもいい、という政策だ。

これは国際社会の一員として許されることではないだろう。彼らの主張はここに触れることはない。

まとめると、彼らの主張は一方的なもので、当然予想される批判に答えようとしない。

最も、こういう現象はこの議論に限ったことではなく、常に起こることだ。

何故、世の中の論説と言われているものがこのように一様に不完全なのか、私にはわからない。