15年戦争に関する本を読んでいて、興味深い記述を見つけた。
第一次世界大戦の少し後、東久邇宮家の方がフランスを訪れた時の話である。
ペタンとクレマンソーという2大巨頭に言われたことだそうだ。
彼らによると、第一次大戦で、アメリカはヨーロッパにおける最大の障害であるドイツを除くことに成功した。そして、アメリカが次にやるであろうことは、アジアにおけるドイツと同様の存在、すなわち日本の勢力を削ぐことであろう、という。
そうして、アメリカの戦略としては、日本の外交下手を利用して外交的に追いつめ、開戦に踏み切らせることだろう、ということだった。
歴史を振り返ると、正にこの通りに進んだ。
(但し、事はそう思惑通りにいうというものではない。第一次大戦の後ドイツはよりやっかいな存在として復活したし、日本の敗戦後、アメリカの真の狙いであった中国は共産化してアメリカは手出しできなくなった)
さて、アメリカの大戦略はあったとして、ルーズベルトやハルは完全にそのシナリオ通りに動いたのだろうか。
実際にあった出来事だけをみればそう結論付けたくもなるのだが、そういうことでもないと思う。
アメリカの大戦略というと大袈裟だが、これは結局のところ、状況を冷静かつ冷血に判断するならば、帝国主義的視点においてはこれが最善手であろう、というだけのことだ。
だからアメリカと日本双方のやり方次第で、これを変えることはできたと考える。(残念ながら主に努力しなければならないのは弱い立場にある日本側ということになるが)
残念ながら、日本にはそれができる力がなかった、ということになるのだろう。