永世中立国であるスイスで論争が起こっているという。自国が輸出した武器や弾薬が、輸出した国から更に再輸出されるのを認めるかどうかという問題だ。
当然、これはロシアのウクライナ侵攻が引き起こした論争だ。200年続いている中立を今のやり方で守るのか、自由主義陣営としての責任をある程度は果たさなければならないのかという選択だ。
これはよその国の問題だ。しかし、世界は今、ターニングポイントを迎えている。
そうして、日本も選択を迫られているという意味ではスイスと同じ境遇にある。これが我々日本人もスイスが直面している問題を考える必要があることの理由だ。
まず、こういうことを考える時に大切なのは、善悪や理想論に捕らわれてはいけないということだ。
考えなくてはならないのは、国家と国民の安全と繁栄だ。
今回のスイスの場合でいうと、輸出した武器弾薬が輸出先の国から更に第三国(この場合はウクライナということになろうが)に転用されることでスイスという国の立場や世評がどう変わるのか。または今まで通り再輸出を禁止し続けることではそれはどうなるのか。
大切なのはその点であって、個人個人の理想、主義、感想などを持ち出すべきではない。
ただし、政策を転換することで、またはしないことで自国民の感情、愛国心、誇りなどなどがどう変わってしまうのかは、これも大切なことなので注意しなければならない。
また、判断する上で不可欠なのは、スイスが永世中立国になった経緯、永世中立国でありつづけたことによって得た利益及び損失、武器弾薬の輸出国になった経緯、それを第三国に再輸出することを禁じたことの経緯など、改めて歴史を確認することであろう。