森さんの発言に対する反応のなかで、元ラグビー協会理事の稲沢裕子さんの発言が格好よく、面白かったのはご覧になられた方も多いのではないでしょうか。正に女の中の女、と言っていいでしょう。
勿論、ほんの短い話を聴いただけなので間違っているかもしれません。でも、こちらが感じたのは、おそらく男社会の中で女性として散々差別されてこられた間に身に付けられたのでしょう、女性差別、女性蔑視の発言などは実害がなければ(つまり自分の感情だけを押さえればいいだけの問題ならば)にこやかに軽く受け流す、という技を持ってらっしゃるように感じました。
そんな技を身に付けざるを得なかったというご苦労を思うとお気の毒でならないのですが、それで以前に書いたことが浅かったことに気付かされたのです。
何を書いたかというと、女性はその場を円滑にすすめるために、自分の能力を隠して、あたかも馬鹿な様な振りをすることが出来るということを指摘したのです。
例えば、テレビのニュース解説の番組では、よく、解説している人に周りの出演者が質問するわけですが、おそらく、ほとんどの場合、質問者も答えはわかっているわけです。テレビですから。それを私たち視聴者に解りやすくするために、知らない顔をして聞くわけですが、その知らない顔の演技が女性のほうが圧倒的に上手に見えるのです。
男はどうしても、「俺、本当は知ってんだよね」という雰囲気がどこかしらに出てしまう人が多いのです。
それで、女ってのは大したものだなぁ、という意味のことを書いたのです。
しかし、これは考えが浅かった、と言わざるを得ません。つまり、女性だって、そんなことを喜んでやっているわけではなかったのでしょう。
男社会を渡っていく手段の一つとして身に付けざるを得なかった技だったのでしょう。
すなわち、そんな技を持っている、ということそのものが、女性の被差別を如実に露にしてる、ということなのでした。
(まあ、それでも、それは単に役割分担だ、という可能性も無くなったわけではありませんが。しかし、もしかしたら、この、自分を殺せる技は、少しずつ、男性にも浸透しているかもしれません)