時事その他についての考察

人類の黄昏

勿論、人類もいずれは滅亡する。

昔から、多くの人たちがどのようにそれが起こるのかを想像してきた。

いわく、核を伴った第三次世界大戦、小惑星の衝突、人為的に作られた致死的なウィルスによる世界的な疫病の流行、高度な文明を持った宇宙人の侵略とジェノサイド。

しかし、今現に起こりつつある、いわば静かな滅亡を予測した人は少ないだろう。

まさか人々が子供を産まなくなると思った人はあまりいなかった。

現在、少子化は先進国といわれる国々共通の現象となっている。

それは各国政府が対策をとれば解決する問題なのではないか、という人もいるだろう。

勿論、その意見に一理はある。

経済的に、また、子育てに対する手助けにおいても親が困らない社会が実現すれば子供を生み育てたいという人たちも多くいるだろう。

しかし、社会のなかでそういう人たちがどれ位いるのかはわからない。

そもそも人々は結婚さえしない。

また、子育てに対する責任がどんどん重くなってきている。

育児放棄、体罰、ネグレクトなど、勿論、子供の人権を真剣に捉えることは良いことなのだろう。

今起こっている子供や幼児の持つ権利が重視されつつあることは、ほとんど人類が生まれてから初めて起きている現象で画期的といってもいいだろう。

しかし、その結果、子供を育てることに成功や失敗があることになってしまった。

そうして、もしもそれに失敗した、と見做されてしまえば、子育てに失敗した親、という恐るべき烙印を背負い続けなければならなくなる。

仮に周りがそう思わなくても、本人はそう思い続けるだろう。

子育てに限らず、ハラスメントの行末、人権尊重の行末は人が人と関わることがそれだけで過大なリスクを伴うものになることにほかならないのだ。

現段階では、いわいる途上国では人工は増え続けているので、世界全体では人の数は多くなり続けている。

しかし、世界の国々のほとんどが先進国になったらどうなるだろう。

それまでに先進国の少子化問題に対する解決方法が見出されなければ、世界全体の人工が減り続けることになるかもしれない。

それは、人類の滅亡まで続くかもしれない。