aiko最大の特徴であり魅力はやはりその声にある。
一般的な意味での歌の魅力という意味では初期のボーイフレンド、花火、カブトムシに止めをさす。
いわいる、詩先であることは間違いないだろう。キャリアの途中からは言葉を伝えることに集中することに迷いがなくなった。その言葉を伝えるためにどう歌ったらいいのか、それだけに集中しているようにも思える。だから似た曲に聴こえてしまうのも仕方がない。
とにかく、歌詞を伝えることを最重要とした歌手としてはビリー・ホリデイが思い浮かぶ。ホリデイが独特の歌い方をするのは、とにかく歌詞を伝えたかったためで、だからあのような語りかけるような歌い方になった。
実力に対して歌唱力の評価がそれほどでもない。それはやはりキャリアの途中から同じタイプの曲が多くなったように思われているからだろう。デビュー当時から完成されていた歌い手ではあるが、実は歌唱技術は向上している。昔、山口瞳という作家がいた。週刊誌で長年見開きのエッセイを連載していたが、晩年はエッセイというよりも日記を公開しているだけのようになった。しかし、ファンはそれを楽しみに読んだ。何故なら、一見単純な日記に見えてもそこには長年積み重ねてきた作家の技がちりばめられていたからだ。ただ贔屓の作家の日常に触れるのが面白かったわけではない。
aikoの歌にもそれと同じことが言える。ただ、aikoらしい語り口が楽しくて我々はその曲を聴くのではない。似たフレーズに聴こえても声質、声色、その他細かい技、すなわち表現力が我々を捉えているのだ。
そうだとしても、その最大の魅力がその声であることには変わりない。ジョン・レノンがそうだったように、松田聖子がそうであるように。声の魅力が突出している人たちは他の歌手より一段心の奥に何かが届くようだ。同時に歌唱の評価は実力よりも低くなる。
※しばらく降りにaikoの曲を立て続けに聴いて、一人で盛り上がって考えたことをしるした。本質が見えている部分があるのかはわからない。