トランプ氏が再び大統領に選ばれたことによって、彼の主張、政策は前回たまたま支持されたわけではなく、アメリカの大衆が求めていたことであったことがはっきりとした。
その過激な言動を取り払って判断すると、彼の政策の中核は保護主義への回帰なのではないだろうか。
第二次大戦後、世界は自由貿易こそが正しいというイデオロギーが一般的だった。そうして、貿易に関する全ての障害は撤廃されるべきであり、保護主義的な政策はそこに至るまでの過渡的な現象に過ぎない、という主張が主流であった。
(しかし実際には農業に対する補助金など、各国は死活的な産業に関しては保護主義的な政策を決してやめようとはしなかった)
確かに自由貿易、更には技術革新によるグローバル化が進んだ結果、世界経済は拡大し、富の総量は飛躍的に増大したのだろう。
しかし、その富はどこに行ったのかというと、極めて一部の富裕層が独占することになった。
結果として世界中で格差が拡大し、いわいる中間層が没落するという現象が起こった。
何故かはわからないが、税制などの政策を通じてこれを改善することが出来ない以上、過大な自由貿易、グローバリズムを止めなければ格差を縮小することはできないのだろう。
そうであるならば、保護主義への回帰はアメリカのみの現象ではなく、世界中に広まることになるのであろう。