時事その他についての考察

サントリー社長新浪剛史氏の発言から見る人間の都合の良さ

あたかも、日本の国民健康保険を廃止して民間の保険で代替させよう、とでもいう新浪氏の発言が注文された。

SNS上では、その発言の傲慢さや、実際に国民健康保険が廃止された時の影響に対する想像力の無さなどが批判の対象になった。

また、新浪氏が社長を務めるサントリーが健康食品を扱っていることから、自社利益のための発言ではないか、という憶測も流れた。

これから言うことも僕の憶測に過ぎないが、新浪氏はリバタリアンなのではないかと思う。

※リバタリアンとは1950年代のアメリカで生まれた思想で、経済的自由と思想的自由を重要視する考え。その思想を象徴的に表す有名な主張を例示すると、国家の徴税も個人の財産権の侵害と捉える。

※アメリカの共和党の主張する“小さな政府”を志向する考えと共通するところもあるが、共和党はキリスト教を重視するので、リバタリアンの言う思想の自由とは相容れない。

簡単に言うと公的権力は財産権の侵害さえ防止してくれれば良く、その他のことは各個人の自由に任せるべきだ、という、自由競争を全面的に肯定する考えらしい。

勿論、個人がどういう信条を持とうが自由だ。

しかし、リバタリアンの思想は上記の例で明らかなように、強者が有利になる考えだ。

そうして、新浪氏は明らかに強者だ。

つまり、新浪氏がリバタリアンになったのは、

※繰り返すが新浪氏がリバタリアンだというのは僕の憶測だ。また、この小文の目的は新浪氏を攻撃することではない。そうではなく、我々が持つ思想、信条、または単に何となく感じている考え方というものは、公平に冷静に論理的に考えて獲得したわけではなく、自分にとって都合のいい考えを取り入れているのに過ぎないということだ。

強者である自分に都合のいい考えを信じるようになったに過ぎない。

そうして、勿論これは新浪氏に限った話ではない。我々のほとんどが同じ経緯をたどって何かを信じているに過ぎない。

これは、理屈などは後からいくらでもつけられる、という例の一つである。